ROCK SEEN BOB GRUEN

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インタビュー

インタビュー
Masa Hidaka & Elvis Costello, Fuji Rock Festival '03

フジロックの生みの親 日高正博が語る
ボブ・グルーエンとの出会いから
ロックの過去と未来へのつながり

写真集『ROCK SEEN』発売の経緯

去年の11月にアメリカ・ツアーをやったんだよ。仕事をほとんどしないでロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークと回って、ミュージシャンとかの友達に会いに行ったんだ。その時にボブ・グルーエンにも会って、彼がこの写真集を持ってきた。それを見てたら「やっぱりおもしれえな」と思ってね。その場で「出そう!」ってなった。1分かかんなかったな。ボブとの出会いは77~78年だよ。日本のミュージシャンがパフォーマンスできる場所を作ろうっていう時に紹介されたんだ。会った瞬間に、仲良くなった。バカみたいな話がいっぱいあるよ(笑)。俺がニューヨークのクラブで大暴れしてるのを、ボブが後ろから止めたり(笑)、ラモーンズのジョーイの誕生日パーティを一緒に過ごしたりね。それでジョーイが亡くなった2001年、フジロックで彼のために何かをやりたいとなって……ボブとラモーンズの関係者を苗場に招いたんだよ。

フジロックと写真集の特別な関係

まずはこのロックンロール・ヒストリー・ブックを、とにかく若い人たちに見てもらいたい。俺たちはこういう時代を過ごしてきたんだ。あなたたちも、こういう時代を過ごしてきた人の影響を受けたミュージシャンの音楽を聴いてるんだよって。ロックンロールのすべてが入ってるから宝物だと思うな。こういうロックシーンがなかったら、フジロックだってなかったよ。俺にとっては自分のルーツみたいなもんだね。50年代の終わりから60年代、今に至るまでいろんないい音楽に巡り会えたのは何物にも代え難いし、それがこういう形で残ってるんだから。

日本版はフジロック特別仕様で発売

最初はこれだけを出す気持ちだったんだ。音楽を好きな人たちにこれは絶対見てもらわないと!ってね。これが大本なんだから、まずはこれありき。さらにボブがフジロックのいろんな写真を撮ってるから、そこに加えればもっと面白くなるんじゃないかと思った。いい写真家、いいミュージシャンは……感性だよね。例えばAとBという写真家がいたとしたら、Aは見た瞬間にピン!ときて何かを撮るけど、Bはただ漠然と撮って大事なものを見逃すかもしれない。ボブはその辺の感性がメチャクチャある。だからこれだけの写真が撮れたし、これだけの写真が撮れるポジションにいける信頼関係をアーティストと持ったと思うんだ。

「ボブ・グルーエンと100人のロックレジェンド展」開催の背景

写真集を発売するんだったら、写真展までやらないと。でないと、単なる自分らの自己満足になる。はい、いいものがありますよっていう。単純に、どこかの書店の棚に並んでるだけじゃ嫌だなっていうのはあった。やっぱり、写真と音楽と人間、この3 つだよ。フジロックのリストバンドを着用して展覧会場に来ると入場無料っていうのはスタッフが考えたんだけど、「何となくいいね」って思ってもらえればいいかな。ロックにはこういう素晴らしいものがあった。今はこういう素晴らしいものが出来つつあるし、これから先ももっともっと良くなる。そういうものを体感して欲しいなって思う。

日高正博

1983年に株式会社SMASHを設立、同代表。1997年にスタートしたフジロック・フェスティバルのオーガナイザー。